ドラスピ大反省会(2)

ドラスティースピアのゲームシステムは至ってシンプルで『ザコ戦』と『ボス戦』のみのレールシューティングです。

プレイヤーの操るドラゴンは

  • MP残量によって威力が変わる「ショット」
  • 緊急回避用の「ローリング」

が使えます。

ちなみにローリング中は無敵に加え移動速度が倍になるので、回避以外にも使いどころはあるかもしれません。

ザコ戦はタイムテーブルに従って敵(編隊)を登場させています。
一見ランダムっぽく見えますが、ランダムで登場するのはクラゲだけで、それ以外は一定のルールに則って登場するようにしています。なお敵を早く倒せば次が早く出てくる早回しにはなっていません。

しかしこのザコ戦ですが、実は後から追加した要素で、これが後々色々と問題を起こすことになりました(※これについてはまた別の話題で書きます)

攻守交代によるボス戦のプロトタイプは随分前に作っていました。
(去年の9月頃だったと思います)

ちなみにこの攻守交代の元ネタは「Wing War」ですw

Wing War – Sega Arcade – HD – YouTube

これをドラゴンでやってみよう!って話になり、結果今のボス戦っぽい感じのものが出来ました。

この段階ではドラゴンのモデルはこれを使わせてもらいました。
Animated Witch and Dragon Monster(Asset Store)

背景の『がんばれーる』でも使ったこれです
First Fantasy for Mobile(Asset Store)

さらに、奥に進んでいくだけでは見た目の変化が少ないので、左右旋回や上下アップダウンを入れられるレールシューティングにしたものこの時だったと思います。
レールにはDOTween Proを使い、事前にシーン上に設定したパス上をプレイヤードラゴンやボスが移動します。

DOTween Pro(Asset Store)


こんな感じにDOTweenでWaypointを設定してパスを作成しています。
ちなみにこのパスを1周するに約9分程度かかります。

次回はレールシューティングあるある(?)を書く予定です。

ドラスピ大反省会(1)

数回にわたってドラスティースピアの開発について書こうと思います。

毎度のことですが開発期間が足りていません。
特に今回は当初4週間で作ろうと計画したものの、色々あり2週間程度しか捻出できず、かなり荒削りな内容となっています。

さて、足りない期間をなんとかするために取る手段ですが、いつも通り

  • 割り切る
  • Asset Storeを活用する
  • 過去のものを使う

です。

『割り切る』のは非常に難しい問題で、作る側のポリシーが一番影響するところでもあると思います。アオダマテイはどちらかと言えばリリースを優先しているので、必要なら心を鬼にしてバッサバッサと仕様を切り捨てています(本当に必要な仕様だったらちゃんと後から追加しますし)

Asset StoreのAssetには今回もお世話になっています。
例えばざっと表示に関係しそうなところだけでもこんな感じです。

※使用したAssetについては個別に書いていく予定です。

『過去のもの』を使うは、ソースコードや各種リソースだったりします。せっかく作ったものは大いに活用しましょう。今回は過去作品からの効果音の流用が多いです。ざっとわかる範囲で

  • タイトルのスタート→PanzerStrikeのスタート音
  • アイテムゲット→DustShootersのゴミ回収音
  • ロックオン→DustShootersのロックオン音
  • ローリング時MP不足→DustShootersのバッテリー不足音

です。
なお時間がないときに書くソースコードはクソコードが多くなるので再利用は期待できないものが多いです…
(ソースコードは残りませんが、実装ノウハウは蓄積されています)

次回はゲームシステムについてです。

もうすぐC92ですが

残念なことにDustShootersの完成はまだまだ先になります。
TimelineとCinemachineが追加されたUnityが出たら本気だすとか思っていたら、もうUnity 2017出ちゃいましたねw
カットシーンを作るのにTimelineやCinemachineを使って見たいので、区切りのいいところで移行する予定です。

一応今月に入ってからC92向けのゲームを作り始めていますが、どこまで作れるかはまだなんとも…

とりあえず背景はこんな感じで、多分シューティングになります。

Unity上でEDTrackerを使ったヘッドトラッキング

Unity上でEDTrackerを使ったヘッドトラッキングを実験したので、その備忘録。

EDTrackerとはArduino+ジャイロセンサーを使ったヘッドトラッキングデバイスです。完成品のProと自作向けのDIYの2種類があり、DIYは専用基板を買って作ることもユニバーサル基板上で完全に自作することもできます。詳細は公式サイトで確認してください。

EDTracker

今回はリファレンス機としてProを使いましたが、自作したものでも結果は同じだと思います(自作用のパーツは用意したんですが、まだ作ってないので…)

EDTrackerはopentrackを経由することで既存のさまざまなゲームで使えるような運用になっているようです。

今回はopentrackを経由せず直接EDTrackerの情報をUnity上で扱えるようにするのが目的です。

EDTrackerはWindowsからはジョイスティックとして認識され、トラッキング情報はジョイスティックの軸データとして取得できます。joy.cpl(昔はコントロールパネルから実行できたんですけどねぇ)で確認すると、X軸・Y軸に-1~1の範囲でデータが入ってくるので、このデータをヨー・ピッチとして使えば良さそうです。

【注意】EDTrackerUIでYaw ScalingとPitch Scalingを1.0にしておく必要があります

しかしここで問題が。Unity標準のInput.GetAxisRawでは期待した値が取得できませんでした。問題切り分けのためWin32APIのJoyGetPosExでEDTrackerのスティックデータを取得したところ期待していた-1~+1の範囲の値を取得出来ました。
おそらくUnity側の問題だと思うんですが、あまり突っ込んだ調査はせずJoyGetPosExをC#から呼べるようにしてUnityで使えるようにしました。
(Win32APIをC#で呼び出す方法は”C# DLLImport”等でググると出てきます )

ちなみにヨーのデータは正面を 0 として左方向にマイナス、右方向にプラスで、真後ろが-1もしくは+1になります。

なので

float axis = (((float)JoyInfoEx.dwXpos - 32767) / 32768);
Yaw = Mathf.Clamp(axis, -0.5f, 0.5f) * 180f;

とすれば、左を向けば -90f、右を向けば 90f がYawに格納されます。
あとはカメラのTransformを回転させればヘッドトラッキングが実現出来ます。

transform.rotation = Quaternion.Euler(
-Pitch * RotationSpeed,
Yaw * RotationSpeed,
0f * RotationSpeed);

まぁリアルに頭を90度横に向けてしまうと画面が見られないので、opentrackのマッピング機能と同等の機能を実装して調整出来るようにする必要があると思います。

とりあえず今はインスペクタである程度調整できるようにしています。
(上はヘッドセットの入力を左右30度の入力でカメラを左右90度回す設定)

これでとりあえずUnityでEDTrackerが使えるようになりました。
ヘッドトラッキングだけではVRのような没入感は得られませんが、頭の動きにカメラが追従するのでだけでも結構楽しめますし、なにより高価なHMDを使わないので簡単に利用出来るのもメリットだと思います(EDTrackerを完全自作するなら部品代は1500~2000円ぐらいです)

できればNx Head TrackerのようにBluetooth接続できるといいんですけどね。

がんばれーるで使用しているAssetについて

がんばれーるで使用しているAssetについてになります。
ホント、毎回Assetには助けられています。

過去に何度か紹介している普段から使っているAssetは

になります。
どのAssetも有名どころだと思うのであえて説明する必要はないかなと。

描画関係で使っているAssetはキャラクタとタンクの描画に Toony Colors Pro、背景の一部に UNOShader UNLIT w/TOON support を使っています。
両シェーダーともかなり高機能かつ便利なんですが、ワークフローや仕様上の問題でおそらく次は自作シェーダーになると思います。

爆発等のパーティクルは Sci-Fi EffectsWarFX、Skyboxは First Fantasy for Mobile のものを使っています。
Sci-Fi Effectsは爆発系以外にもレーザーや炎、ホログラフと色々なエフェクトが入っていたり、ターレットエディタで好きな砲台が作れたりとAsset単体でも結構楽しめます。
また非常に助かるのはエフェクトにあわせた効果音も入っているところですね。エフェクトにあった効果音探すのも結構時間かかるんです…

ステージ開始時のカメラ動きは Pegasus を使いました。DustShootersで使っている Camera Path Animator でもよかったんですが、たまには別のAssetを使ってみたかったので。次は無償になった Cine.Machine Base Rig も使ってみたい思っています。

version 1.01から追加したボイスは Voice Pack Vol.1vol.2 です。
やはりボイスがあるとないとでは全然違いますね。

以上、かなりざっくりですががんばれーるで使っているAssetの紹介でした。

がんばれーる1stの v1.01 アップデータを公開しました

がんばれーる1stの v1.01 アップデータを公開しました。
ダウンロード

  • アップデート方法

ダウンロードしたgb1st_v1.01_Update.exeを実行してください。
このような画面になるので、ダイアログに従ってアップデートを行ってください。

1点だけ注意点ですが、参照先を選択するダイアログのところでがんばれーるのインストールフォルダを選択するところがあるので、環境に合わせて変更してください。

アップデートの内容ですが、環境設定の機能強化が主になります。

  • 環境設定で各種ポストエフェクトのON/OFFを行えるようにしました

ポストエフェクトの「Antialiasing」「Ambient Occlusion」「Bloom」を個別にON/OFFできるようになりました。ポストエフェクトを全て無効にすると描画パフォーマンスはかなり変わりますので、実行環境に合わせて設定してみてください

ポストエフェクトを全てONにしたときと、全てOFFにした場合、見た目はこれぐらい変わります

個別に組み合わせた感じだとこんな感じです

「Ambient Occlusion」を有効にするとキャラの顔が怖く(?)なりますが、背景の見た目はよくなります

ちなみにポストエフェクトは画面全体にかかるので、Ambient Occlusionをキャラの顔だけOFF、背景だけONというのは標準ではできません。
(今作っているシェーダーはステンシルバッファを使って任意のマテリアルだけAmbient Occlusionをかけないように出来ます)

Bloomはキャラの見た目よりゲーム中のエフェクトに影響がでます

  • ボイスを追加しました

賑やかしのボイスを追加しました。
それに伴い、音量調整の部分にボイスが追加され、再生テストボタンを追加しました。
いずれボイスも何パターンか用意してカスタマイズ項目に追加したいですね。

  • ゲームパッドのスティック入力をデジタル値として扱うオプションを追加しました

ゲームパッド+ラジコン操作だとスティックの構造上アクセル100%右旋回100%のような操作が行えませんので、閾値を設けてスティックの入力をデジタル的に扱うように出来ます。
ただ、操作がピーキーになるのでゲームパッド時はラジコン操作ではなく「方向キーの入力方向に移動」を選んだ方がいいと思います。

  • タイトル画面のメニュー項目をマウスで選択できるようにしました

地味な改良ですが、タイトル画面のメニューの選択だけマウス対応しました。

以上、version 1.01 の更新内容についてです。

最後に、アップデータにはPatchWise Freeを使わせて頂きました。
(自前のaoUpdaterを入れてもよかったんですが、ノートンなどのセキュリティソフトに削除されるトラブル対応が面倒で…)

がんばれーるのゲーム本体について

がんばれーるのゲーム本体についてです。

実はがんばれーるの元になるゲームは10月に既に作っていました。
これがいわゆるプロトタイプになります。

このゲームは

  • DustShootersの主人公の制御方法の見直し(CharacterController+Rigidbody的なものにしたい)
  • NavMeshの応用研究(DustShootersのボスの移動がNavMeshなので)

を主目的とし、さらに個人的に不定期で実施している

  • 瞬発力を鍛えるために24時間で1本ゲームを作る

という「一人ハッカソン」的なもので誕生しました。
このゲームにキャラカスタマイズ機能を追加したのが「がんばれーる1st」になります。

ただ、ゲームロジック部分の思想が異なっていて、プロトタイプはシューティングゲーム的な自機と敵の組み合わせに対し、がんばれーるは自機も敵も「タンク+キャラ」という部分を共通化し、プレイヤーが操作する自機に相当するタンクにはユーザー操作を許可するコンポーネントを追加することでキー操作を行っています。

そのため、がんばれーるの内部ロジック的にはCPUs vs CPUsのような自動バトルロイヤルが可能だったりします。

一応プロトタイプの流れでシューティングゲームとして作りましたが、もしかしたら次は(がんばれーる2nd?)シミュレーションゲームになる可能性もあったりなかったり…

次回は使ったAssetについてです。

描画パフォーマンスについて

ゲーム本体についての前に、がんばれーるの動作が遅いとの意見を頂いたので、手持ちのPCで特にパフォーマンスの出にくいノートPCでFPSを計測してみました。

解像度は1280×720(GT330のみ1280×768)、No Effect はPostEffect処理(Antialiasing、Ambient Occlusuin、Bloom)を無効にした場合です。
※頒布中のがんばれーるではPostEffectを無効にすることはできません

Good Beautiful Fantastic
i7-640M
GeForce GT330M
D11 15 11 9
D9 16 13 11
D11 No Effect 27 19 14
D9 30 25 17
i7-4650U
Intel HD Graphics 5000
D11 21 19 13
D9 28 23 17
D11 No Effect 37 27 19
D9 40 30 23
i7-6650U
Intel Iris Graphics 540
D11 34 31 29
D9 39 35 29
D11 No Effect 60 43 37
D9 60 50 36

若干ですが、DirectX9モードで動かした方がFPSは出るようです。

また、やはりPostEffectの無効化はやはり影響が大きいです。
もちろん見た目もこれぐらい変わりますが…

ちなみにPostEffectはImageEffectではなくこっちを使っています

まぁ結論としては当たり前ですが描画クオリティの設定機能は必要ってことですね。

後は動作スペックの下限をどのあたりに設定するかも課題かもしれません。
一覧には入ってませんが、Intel HD Graphics(i7-640M)ではDirectX11で起動せず、DirectX9でGood品質の時 4fps(No Effect で7fps)でした。さすがにこの世代でプレイするのは非常に厳しいです。

【補足】
FPSを計測したのはタイトル画面です。
環境によりますが、ゲーム中(見下ろし画面)のFPSはタイトル画面の 1.5 倍程度出ます。

キャラクタの描画について

がんばれーるのキャラクタの描画についてです。

がんばれーるのキャラやタンクの描画にはToony Colors Proを使っています。

Toony Colors Pro+Mobile(Asset Store)

シェーダーの構成としてはStandard PBS(物理シェーダー)+アウトライン+ランプです。

特に難しいことはやっていませんが、当初カスタマイズで色変更を考慮していなかったので、後から色変更(そのために複数テクスチャ化)に対応するため1メッシュ複数マテリアルというパフォーマンスの悪い実装になっています。もっともPCならさほど問題でもないでしょう。

例えば髪のレンダラーはこんな感じに複数マテリアルになっています。
chara_bobcut_colが髪、chara_bubcut_maskがハイライトになり、chara_bobcut_colの Albedoを変更することで色変更に対応してます。

ただ、やはりパフォーマンスや取り回しを考慮するならシェーダーを自作するべきでした。
例えばStandard PBSでテクスチャを3枚重ねるだけなら

#pragma surface surf Standard fullforwardshadows

void surf (Input IN, inout SurfaceOutputStandard o)
{
    fixed4 c = tex2D (_MainTex, IN.uv_MainTex) * _Color;

    fixed4 tex2nd = tex2D(_Tex2nd, IN.uv_MainTex) * _Color2nd;
    c.rgb = lerp(c.rgb, tex2nd.rgb, tex2nd.a);

    fixed4 tex3rd = tex2D(_Tex3rd, IN.uv_MainTex) * _Color3rd;
    c.rgb = lerp(c.rgb, tex3rd.rgb, tex3rd.a);

    o.Metallic = _Metallic;
    o.Smoothness = _Glossiness;
    o.Albedo = c.rgb;
    o.Alpha = c.a;
}

だけで済みますし、アウトラインを入れるならUsePass “Toon/Basic Outline/OUTLINE”でUnity標準のアウトラインシェーダーを呼べばいいでしょう。
ランプテクスチャを用いた階調表現はUnity標準のToonLit.shaderを参考にすればいいと思いますが、Standard PBSと合成したいとかなると自前で実装する必要があると思います。もしShaderForgeを使うなら

Unity道場 14 Shader Forge 102 ~ShaderForgeをつかって学ぶシェーダー入門~ カスタムライティング/トゥーンシェーダー編

の30ページからランプシェーダーについての説明があるので、これを参考にするのがいいと思います。

なお、今回の反省をから後日シェーダーに関しては自作してみました(途中)。
普段なら直接シェーダーを書くところですが、せっかくなのでShaderForgeで作ってみたり。
※ShaderForgeを使うにあたり、上記Unity道場の内容は非常に参考になりました!

左がToony Colors Pro、右が自作シェーダーになります。
ランプの実装がまだ途中なのでいまいちですが、全ての処理が1マテリアルで完結しているので、マテリアル情報が MaterialPropertyBlock で変更出来るようになります。
(MaterialPropertyBlockはレンダラーに対しての設定のため、マテリアルが複数ある場合の設定のしかたがわからなかった…)

ちなみにこれらで得られたノウハウはもれなくDustShootersに反映されています。

次回はゲーム本体についてです。

がんばれーる1st反省会

がんばれーる1st反省会(その1?)

前作のスウィンぐるんは3週間、それもかなりのオーバーワークで作ったので、今回は何を作るにしてもとりあえずゆるゆると6週間で開発すると計画したものの、結果的に5週間のオーバーワークという前回より状況は悪化しましたw

大雑把な内訳は

  • キャラ+タンクのカスタマイズ機能に3週間
  • ゲーム本体に2週間

でしょうか。

特にキャラカスタマイズに半分以上の時間を使ってしまったのは大失敗でした。
実装方法をあれこれ試していたのもありますが、一番の問題はエディタ拡張を作るのに時間をかけてしまったことです。なにせゲーム自体の進捗にはほとんど寄与しないので…

どうせゲーム内でカスタマイズするので、最初からランタイム動作のカスタマイズエディタを作ってしまえばよかったんですよねぇ。

ちなみにUnityエディタ上で動作するカスタマイズエディタはこんな風です。

キャラクタのカスタマイズ

タンクのカスタマイズ

それでも今までエディタ拡張を積極的に使ってこなかったこともあり、今回のカスタマイズを作って色々と得るものはありました。今更でしょうが Inspector が見やすくなるのが素晴らしいですw

次回はキャラクタの描画についてです